設計開発がつまらないのは向いてないから?理由と手応えの戻し方を解説

sekkei-kaihatsu-tsumaranai

設計開発に就いて数年、既存品の手直しや手続き、試作の結果待ちが続き、自分で決めたものが形になる場面がないと感じる時期があります。手応えのなさが続くと、自分は設計に向いていないのではと疑いたくなります。

つまらなさの出どころは、手直し・手続き・分業・検証の待ちなど、どの時間に取られているかで分けて確かめられます。向いていないかどうかを疑うのは、その時間を確かめてからでも遅くありません。

この記事では、つまらなく感じる理由と、手応えがない時間の書き出し方、今の会社で手応えを戻す方法、会社を替える前に確かめることを解説します。読み終えると、自分の手応えのなさがどの時間から来ているかを見分けられます。

設計開発がつまらないのは自分だけか

仕事の内容に興味を持てない悩みは、自分だけのものではありません。令和7年雇用動向調査で前の仕事を辞めた理由を見ると、転職した男性の5.2%が仕事の内容に興味を持てなかったことを挙げています。男女別の集計で、女性は4.6%です。どちらも全産業・全職種の転職者の値です。

能力・個性・資格を生かせなかったことを挙げた男性も、同じ割合です。給料等の収入が少なかったことを挙げた男性は9.9%で、この2つはどちらもその半分ほどです。

勤務時間や日程のきつさが理由なら、次の記事のほうが近い内容です。

▶ 設計開発はやめとけ?きつい理由と研究開発との違い、職種か会社かの見分け方を解説

設計開発がつまらなく感じる理由

日立製作所の設計開発職の採用ページには業務内容は配属先しだいだと注記があり、設計開発という職名のままでも、会社や配属が違えば仕事の中身は違います。

既存品の手直しばかりで決める場面がない

日立製作所の公式採用ページは、設計開発職の代表的な仕事の一つに運用設計・保守および改良を挙げています。装置メーカーの求人にも、個別の客先の要求に合わせ、標準の装置に含まれない機能をオプションとして設計する仕事を載せたものがあります。

既存品の改良・仕様変更・客先ごとの追加設計では、仕事の中心が既にある製品に足す部分と直す部分になります。改良の中にも方式を選ぶ場面はありますが、その幅は既存の製品の枠に収まる範囲に限られます。

設計が正しいか分かるまで数か月かかる

自分の判断が正しかったかどうかは、すぐには分かりません。試作が要る設計では、出図のあとに部品の手配や組み立て、試運転といった工程がいくつも挟まり、検証まで数か月かかる例もあります。

途中でミスが見つかれば再設計になり、部品の手配からやり直す場合もあります。判断から答えまでが数か月空くと、決めたという手応えは残りにくくなります。

出図までの手続きに時間を取られる

図面を描き終えても、会社によっては、デザインレビュー、出図の社内申請、部品の登録で承認が下りるまで、次の工程に回せません。

出図の前には、不具合や部品の重複を止めるための確認と承認が重なります。確認を何段置くかは会社ごとに違い、段の数だけ、描き終えてから図面が動き出すまでの待ちが延びます。

分業で一部の工程しか触れない

職種を細かく分ける会社では、1人が受け持つ範囲が狭くなります。ニコンの公式採用ページは開発・設計を7つの職種に分けていて、そのうち機械・機構設計の仕事の中にも、概念・基本・詳細・量産という段階があります。

構想が決まったあとの詳細設計だけを受け持つと、描いた図面が装置全体のどこにどう効いたかは見えにくいままです。

同じ製品の担当が何年も続く

同じ製品の担当が数年続くと、設計で迷う箇所の答えをすでに知っている状態になります。負荷が下がる一方で、新しく覚えることや初めて決める場面は減りやすくなります。

手応えがない時間の書き出し方

直近の一〜二週間に何をしていたかは、思い返して並べると印象の強い作業に寄ってしまいます。そのため、記憶ではなく記録から、時間で数えます。

  • 直近の一〜二週間を、予定表や日報から業務の名前で書き出し、それぞれにかけた時間を添えます
  • 書き出した業務を、下の一覧の区分に振り分けます
  • 区分ごとに時間を足し、全体の合計も出します
  • 書き出しの横に、担当している製品と、その製品の担当が何年目かを添えます

区分の呼び名は会社ごとに違うため、自社で使っている言い方に置き換えてかまいません。

既存品の手直し

  • 入る仕事の例:仕様変更・客先ごとの追加設計・不具合の修正
  • 振り分けの目安:既にある製品に足す・直す

検証と結果待ち

  • 入る仕事の例:試作・組み立て・試運転の結果待ち、測定と評価
  • 振り分けの目安:描いた設計が正しいかを確かめている

出図の手続き

  • 入る仕事の例:デザインレビュー・出図の申請・部品の登録・会議の資料
  • 振り分けの目安:図面を描き終えたあとの承認と登録

決まった構想に沿う作図

  • 入る仕事の例:ほかの人が決めた構想や仕様に従う詳細設計・作図
  • 振り分けの目安:方式や仕様を決めたのが自分以外

自分で決めた設計

  • 入る仕事の例:方式・構造・部品・回路を自分の判断で決めた時間
  • 振り分けの目安:方式や仕様を決めたのが自分

詳細設計は、振り分けで迷いやすい業務です。同じ詳細設計でも、自分で方式を決めた時間と、決まったことに従った時間は別の区分に分けて数えます。方式を誰が決めたかで手応えの残り方は違ってくるからです。既存品の改良の中で自分が方式を選んだ時間は、自分で決めた設計の区分に入れます。

同じ製品の担当が何年続いているかは、一〜二週間の配分には表れません。担当製品と年数を横に添えておけば、年数のほうで見られます。

区分ごとの合計を全体の合計で割ると、自分で決めた設計が全体のどれくらいかが数字で出ます。残りがどの区分に偏っているかも、同じ一覧から読み取れます。

つまらないのは設計に向いていないからか

最近の業務を書き出してみて、方式や仕様を自分で決めた時間がほとんどないなら、担当や会社の進め方を先に確かめます。決める時間があるのに面白くないなら、扱う対象や確かめ方の速さとの相性を疑います。

担当や会社の進め方を疑う場合の例として、装置メーカーのTOWAのメカ設計の求人は、生産設計と開発設計(スペシャリスト)で仕事内容を分けています。前者には客先の要求に応じた追加設計が、後者には新しい機構の設計と試作から量産までの一貫した設計業務が含まれていて、1社のメカ設計の中でも仕事の中身が分かれています。

もう一方の場合は、決めること自体は苦にならなくても、機構・回路・ソフトのうち扱っているものが合っていないことがあります。ソフトウェアのように試してすぐ直せる対象のほうが面白いと感じる人もいます。電気系の設計での手応えのなさは、後ろの質問で触れています。

今の会社で手応えを取り戻す方法

手応えのなさが仕事の割り振りや進め方から来ていると見当がついたなら、会社を替える前に上司へ頼めることがあります。自分の理由に近いものを1つに絞って伝えたほうが、上司も人の配置を考えやすくなります。

新製品の案件に入れてもらう

新製品の案件への希望は、担当が決まる前の、期初の担当決めや評価面談の機会に上司へ伝えます。

新しい装置のチームは人選から始まるので、メンバーが決まった後に手を挙げても、その案件には間に合わない場合があります。伝え方も、つまらないという感想ではなく、どの製品のどの段階に入りたいかの形にします。感想だけでは、上司が誰をどこに回すかを考える材料にならないからです。

入りたい先とあわせて、今の担当で何をしてきたかも話せるようにしておきます。面談の前に、手がけた改良や追加設計を、客先の要求を形にした件数で言えるように整理します。

構想設計に近い担当へ移る

詳細設計だけを受け持っていても、自分の部分が装置全体の重さ・コスト・組み立てに与える影響を、構想の担当者と詰められます。詰めた日付と決まったことは、その都度設計メモに残します。次の担当決めのとき、全体に関わる判断に加わってきたことを、口で説明するより確かな形で上司に示せるからです。

構想に近い担当は、製品や装置全体のバランスや効率性を考えて構想を決めるシステム・構想設計という独立した職種に置く会社もあり、そうした会社では担当替えで動かせる範囲は限られます。頼むときは、このメモを見せながら、自分の受け持ちを構想にどこまで近づけたいかを上司に伝えます。

試作の早い製品を担当する

結果待ちの長さが手応えを削っているなら、担当する製品を選ぶ段階で、試作から検証までの期間を上司や先輩に聞きます。設計してから結果が分かるまでの長さは、扱う物ごとにまちまちです。聞いた期間を並べれば、判断の答えが早く返ってくる候補を選んで希望を出せます。

どの相談も、社内で頼める範囲は担当と製品までで、希望が通るとは限りません。会社の職種の区切り方や出図の承認の段数は担当を替えても残る場合があり、それが手応えのない時間の大半を占めるなら、見直す先は会社の側です。

会社を替える前に確かめること

手応えを求めて会社を替えるなら、得るものより先に、手放す年収を確かめておきます。移る先の規模で平均が変わるため、今の会社と移る先がどの区分に当たるかを規模別の平均で見ます。

1,000人以上

  • 機械技術者:745.5万円
  • 電気・電子・電気通信技術者:749.7万円

100〜999人

  • 機械技術者:610.4万円
  • 電気・電子・電気通信技術者:676.4万円

10〜99人

  • 機械技術者:525.4万円
  • 電気・電子・電気通信技術者:597.6万円

設計職に限った値ではなく、技術者の職種ごとの平均です。電気・電子・電気通信技術者は、通信ネットワーク技術者を除いた区分です。出典は厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査(産業計・男女計・一般労働者)で、きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額で年収に換算し、小数第2位を四捨五入しています。

どちらの職種も、規模の小さい区分ほど平均は低くなります。1,000人以上と10〜99人の開きは、機械技術者で約220万円、電気・電子・電気通信技術者で約150万円です。

もっとも、この一覧は年齢や勤続を揃えていないため、差は目安として読みます。機械技術者の平均は1,000人以上が41.7歳・勤続16.0年、10〜99人が45.3歳・勤続13.7年で、規模の小さいほうが平均年齢は高いのに年収は低く、勤続は短めです。

▶ 製造業の年収はいくら?平均と年齢や業種、企業規模、職種による差を解説

メカ設計の求人には、募集する職種で年収の下限が変わるものがあります。TOWAのメカ設計の求人では、生産設計は600万〜890万円、開発設計スペシャリストは730万〜890万円です。上限が同じでも下限は130万円違うため、比べるときは応募する職種の下限を見ます。

得るものの手がかりは、求人の仕事内容欄に書かれた任される工程です。客先との仕様の打ち合わせから設計・立ち上げ・納入・試運転・メンテナンスまでを設計者が受け持つ装置メーカーもあり、そうした会社では1人の担当する範囲が広くなります。

面談では、設計に使える時間がどれだけあるか、出図までに承認を何段通すか、構想から関われるかを聞きます。

▶ 機械設計はやめとけ?そう言われる理由と転職で解決できる不満の見分け方を解説

よくある質問

電気系の設計でも同じようにつまらなくなりますか?

手応えのなさは、電気系でも起こりうる話です。試作と検証の繰り返しや工程の分業は電気の職場にもあり、出どころは機械系と同じ見方で確かめられます。

メーカーの公式採用ページには、電気・電子回路設計を、回路設計のあとに試作を行い、試験と検証を繰り返しながら完成度を高める仕事と説明するものがあります。同じページでファームウェア・ソフトウェア開発を回路とは切り離して募集しています。回路とファームウェアが別の職種に分かれる会社では、受け持つのが回路の一部かソフトの一部かで、装置全体への関わり方も違います。

▶ 回路設計はやめとけ?きつい理由と当てはまる職場、異動や転職の判断を解説

今の仕事は下積みと考えて待つべきですか?

このまま続けるかどうかは、その先で新規開発へ移れる見込みが会社にあるかで判断できます。移れると確かめられれば時期を区切って待ち、確かめられなければ担当替えの相談に進みます。

確かめる相手は上司や先輩で、同じ部署で改良の担当から新製品の担当へ移った人がいるかを聞きます。求人に、習熟すれば新規要素開発や装置開発に移ると書く装置メーカーもありますが、何年たっても改良だけが続くなら、下積みより担当の固定を疑ってよいでしょう。

まとめ

まず一〜二週間の仕事を書き出し、自分で決めた時間がどれだけあるかを数えます。その時間がほとんど無いなら、先に確かめるのは担当や会社の進め方です。決める時間があっても面白くないなら、確かめる先は扱う対象との相性です。

担当や進め方が原因の場合は、理由に合うものを1つに絞って上司に頼みます。既存品の手直しが続くなら新製品の案件、一部の工程しか触れないなら構想設計に近い担当、結果待ちが長いなら試作から検証までが早い製品です。一方、会社の職種の区切り方や出図の承認の段数は、担当を替えても残る場合があります。

担当を替えても手応えが戻らなければ、会社を替える前に、規模別の年収差と求人の仕事内容欄で任される工程を確かめます。年収は規模の小さい区分ほど平均が低く、任される工程は求人ごとに範囲が違うからです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です