回路設計はやめとけ?きつい理由と当てはまる職場、異動や転職の判断を解説

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量産前の手戻りや原因の分からない不具合が続くと、回路設計はやめとけという声が自分のことのように思えてきます。かといって中途の求人を開くと、設計の実務経験の年数が必須欄に並び、動くにも条件があります。

やめとけと言われるきつさには、原因の見えない不具合のように会社を変えても残るものと、相談相手の少なさのように職場の体制で変わるものがあります。今の会社で続けるか、別の会社で続けるか、品質保証やFAEへ移るかは、どちらに当たるかしだいです。

この記事では、やめとけと言われる理由と、自分の職場に当てはまるかの見分け方、異動や転職を選ぶ条件を解説します。

回路設計がやめとけと言われる理由

回路設計がやめとけと言われる5つの理由(不具合の原因が見えない・必要な知識が広い・量産直前に手戻りが重なる・不具合の責任を設計が負う・少人数で相談相手がいない)
出典:日置電機・トプコン・京セラドキュメントソリューションズ・バッファローの公式採用ページをもとに作成(2026年10月8日閲覧)

やめとけと言われる中身は人ごとに違うので、自分のつらさがどの理由に当たるかを先に確かめます。

不具合の原因が見えない

基板単体の評価で問題がなくても、実機に載せて初めて不具合が出て、原因がどこにあるか分からないことがあります。京セラドキュメントソリューションズの入社3年目の電気設計者は、ASICを搭載したコントローラーボードの基板単体の評価は順調だったのに、実機に搭載すると複数の不具合が出ました。原因は自分の基板設計にありましたが、対策の方法はまったく分かりませんでした。

ファームウェア設計職でも、原因が見えない不具合は起きます。バッファローでは、生産終了に伴う代替部品を組み込んだメモリーカードが動作しませんでした。代替部品は仕様基準を満たしファームウェアにも問題はなく、借りた装置一式で装置全体を検証したところ、装置側が交換前から正常に動作していませんでした。以前の部品がたまたま間違った信号を処理していたことが、運用開始から十年以上を経て分かりました。

必要な知識が広い

1人の設計者が持つ範囲は、回路の種類からツールの操作、ファームウェアにまで及びます。

日置電機の電気回路(アナログ回路)設計の募集では、1つの職種の仕事内容にアナログ回路、電源回路、CPU・FPGA周辺の回路、製品の電気評価が並びます。回路の種類ごとに必要な知識は違うので、担当が広いほど学ぶ範囲も広がります。しかも同じ募集は、回路図CADとLTspiceなどのシミュレーションツールの操作まで必須です。

タムロンの電気電子設計のように、回路設計からファームウェア、製品の検査装置の設計まで、1人が経験する職場もあります。

量産直前に手戻りが重なる

試作の評価結果で回路や基板を直す工程が、量産立ち上げの手前にあります。

量産化までに検証と対策を何度も重ねた例が、タムロンの電気電子設計にあります。取引先企業からの要望と製品品質の両立に苦労した案件で、開発チーム全体で問題点を何度も検証・解析し、対策を重ねて量産化にたどり着きました。

工程の並びで見ると、トプコンの電気設計は、試作基板や試作機の測定とノイズ・EMC・熱評価の結果をもとに回路改善や基板改修を行い、その後に量産立ち上げと不具合解析が続く流れです。

不具合の責任を設計が負う

日置電機のデジタルハードウェアおよびFPGA設計の仕事内容には、設計した製品の動作検証・性能評価に加えて、不良解析、原因調査と対策の実施、国内外のユーザ対応が入っています。不具合が出たとき、原因を調べて対策を打つところまでが、設計した側の仕事に含まれています。日置電機では、品質保証の募集にも市場不具合の原因調査が入っています。

少人数で相談相手がいない

設計者が少ない職場では、実機で不具合が出ても、一緒に原因を探す相手が社内にいないことがあります。不具合の切り分けを自分だけで抱えることになります。

相手がいる職場の形は、京セラドキュメントソリューションズやタムロンの例で分かります。京セラドキュメントソリューションズでは、実機で出た不具合を、周囲に助けを求め、部署の垣根を越えて解決しました。タムロンでは、光学・機構・電気電子・生産技術のメンバーが同じフロアにいて、問題が出るとすぐ集まります。

きついのは仕事のせいか職場のせいか

各項目の「出どころ」は仕事の性質か職場の体制かを示し、「確かめること」は自分の職場で確かめる点です。

  • 不具合の原因が見えない 出どころ:仕事の性質/確かめること:試作の評価を設計者が持つか、別の担当が持つか
  • 必要な知識が広い 出どころ:仕事の性質(広さは担当範囲しだい)/確かめること:自分の担当の回路の範囲(アナログ・電源・FPGA周辺のどこまでか)
  • 量産直前に手戻りが重なる 出どころ:仕事の性質(重なり方は職場の体制)/確かめること:製品の仕様を決めるのが自社の企画か委託元か
  • 不具合の責任を設計が負う 出どころ:仕事の性質(分担は職場で違う)/確かめること:不良解析を設計と品質保証でどう分けているか
  • 少人数で相談相手がいない 出どころ:職場の体制/確かめること:同じ担当の設計者が何人いて、先輩に聞けるか

職場の体制で変わるかどうかは、会社の規模でも確かめられます。残業時間で比べるなら、厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査の職種第5表に、電気・電子・電気通信技術者の規模別の値があります。回路設計職だけの値ではありません。

所定内実労働時間は規模計で159時間です。上乗せされる超過実労働時間は、10〜99人の月9時間に対して1,000人以上は月18時間で、規模が大きいほど長くなっています。残業を減らすつもりで大手へ移っても、軽くなるとは限りません。

この値は2025年6月の1か月分で、繁忙期の高さは自分の職場の月ごとの残業時間で確かめます。

電気・電子・電気通信技術者の月の残業時間(企業規模別):10〜99人9時間、100〜999人16時間、1,000人以上18時間、企業規模計16時間
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種第5表(2025年6月分・通信ネットワーク技術者を除く)

回路設計を含む電気系技術者の年収

厚生労働省の統計にある電気・電子・電気通信技術者の年収は、年齢階級と企業規模で開きます。

年齢階級1,000人以上100〜999人
25〜29歳578.5万円510.8万円
30〜34歳715.8万円635.0万円
35〜39歳794.4万円682.9万円
40〜44歳885.5万円756.4万円
全年齢749.7万円676.4万円

厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査 職種第5表(2025年6月分のきまって支給する現金給与額×12+年間賞与)。通信ネットワーク技術者を除く集計です。

規模計は703.9万円(平均42.1歳・勤続15.1年)、10〜99人の事業所は597.6万円です。

1,000人以上と100〜999人の差は、25〜29歳の約68万円から40〜44歳の約129万円へ年齢とともに開きます。移る前後の年収は、同じ年齢階級の欄どうしで見比べます。年齢をまたいで比べると、100〜999人の40〜44歳の756.4万円は、大手の30〜34歳の715.8万円を上回ります。

▶ 製造業の年収はいくら?平均と年齢や業種、企業規模、職種による差を解説

担当が細分化されていても転職できるか

細分化された担当を求人に当てはめる順番(担当を要素技術で言い直す→募集の要素技術と照らす→必須の年数と照らす)
出典:日置電機・トレックス・セミコンダクター・パナソニック デバイスSUNXの公式採用ページをもとに作成(2026年10月8日閲覧)

次の5つの公式求人のうち4つは、製品名ではなく要素技術で仕事内容や必須条件を書いています。

  • 日置電機 電気回路(アナログ回路)設計 必須の経験年数:電気回路設計の実務経験5年以上/仕事内容・必須の技術:アナログ回路・電源回路・CPU/FPGA周辺。回路図CADと電気回路シミュレーションツール(LTspiceなど)の操作
  • 日置電機 高圧発生回路の設計 必須の経験年数:3年以上(次のいずれか)/仕事内容・必須の技術:高電圧機器の開発設計/パワエレ系の回路設計・制御設計/パワー半導体のアナログ・レイアウト設計
  • 日置電機 デジタルハードウェアおよびFPGA設計 必須の経験年数:3年以上/仕事内容・必須の技術:デジタルハードウェア設計、またはVerilog HDLを用いたFPGA設計
  • トレックス・セミコンダクター 設計開発エンジニア(アナログ回路設計、評価) 必須の経験年数:5年以上/仕事内容・必須の技術:アナログ半導体回路の設計
  • パナソニック デバイスSUNX 電気電子回路設計者 必須の経験年数:業務経験年数5年以上/仕事内容・必須の技術:要素技術の記載なし。職種名は電気電子回路設計者と電気回路解析技術者

担当を要素技術で言い直し、それが募集の技術と重なって年数も足りていれば、細分化された担当でも応募の必須条件に届きます。たとえば製品の電源部を担当してきたなら、日置電機の電気回路(アナログ回路)設計の項目にある電源回路と、担当の要素が重なります。

パナソニック デバイスSUNXの募集のように要素技術がない場合は、職種名が自分の業務に当たるかどうかで読みます。

製品の一部に細かく分かれた業務は、担当と同じ名前では求人を探しにくくなります。要素技術で探すと、年数と問われる技術が募集ごとに書き分けられた求人が見つかります。

回路設計を続けるか離れるかの選び方

回路設計を続けるか離れるかの4つの動き方(今の会社で続ける・別の会社で続ける・品質保証へ移る・FAEへ移る)
出典:日置電機・トレックス・セミコンダクター・京セラドキュメントソリューションズの公式採用ページをもとに作成(2026年10月8日閲覧)

動き方は、つらさの出どころと経験年数で候補を絞り、そのうえで勤務地や年収、働き方の条件を見て決めます。

今の会社で続ける

不具合の原因が見えないことのように、つらさが仕事の性質から来ているなら、つらさそのものは残ります。それでも設計を続けるなら、会社を変えずに扱う製品を変えて経験の幅を広げる動き方があります。

京セラドキュメントソリューションズの電気設計には、A4プリンターのコントローラーボード設計からA3複合機向けの開発部門へ社内で異動した例があります。同社の中〜大規模オフィス向けプリンターは、ベースの仕様や回路設計が小規模オフィス向けとまったく異なります。

別の会社で続ける

つらさが少人数の体制や、仕様を委託元が決める体制から来ていて、回路設計そのものは続けたい人は、移り先で体制を確かめます。見る点は規模だけでなく、設計者の人数、自社製品か委託か、評価を設計職が持つか別の担当が持つかです。

たとえば、トレックス・セミコンダクターの設計開発エンジニアは、自社オリジナルブランド製品を企画から量産までチームの一員として手がけます。評価をどこが持つかは募集の職種名で確かめられ、「設計開発エンジニア(アナログ回路設計、評価)」の募集では設計と評価が同じ職種に入っています。

半導体の会社を移り先に考えるなら、業界全体でやめとけと言われる理由も確かめておくと判断しやすくなります。

▶ 半導体業界はやめとけ?そう言われる理由と当てはまる職種や会社を解説

品質保証へ移る

日置電機の品質保証の仕事は、市場で発生した不具合の原因調査・解析、生産工程監査、外注部品の品質向上施策の立案と協力企業との品質改善活動です。

設計の最終責任を負う立場はつらいが、不具合の原因を調べる仕事は苦にならない人なら、回路設計で不良解析をしてきた経験を原因調査・解析で使えます。ただし、市場の不具合の原因を調べる役割は品質保証にもあり、責任から完全に離れるわけではありません。

同じ募集は、QC検定3級以上、またはそれに相当するレベルの知識があることが望ましいとしています。

FAEへ移る

トレックス・セミコンダクターのFAE職は、必須がエンジニア歴3年以上と、電子機器またはアナログ半導体の評価経験で、電源ブロックや電源ICの評価経験は尚可です。

顧客と話す仕事に移りたい人は、回路設計の経験が重なる業務から見ます。求人には、電源ソリューション回路の提案と、顧客提出用の評価ボードの作成・EDAを使ったPCBレイアウトが書かれています。プリント基板の設計、回路シミュレーション、FAE業務、英語でのメールのやり取りの経験があれば有利です。

よくある質問

回路設計はオワコンですか?

オワコンとは言えません。令和7年度の電子機器技術者のハローワークの有効求人倍率は2.43で、募集は出ています。

トレックス・セミコンダクターの募集にある最終製品例にも、産業機器、ADAS・車載用途、5G関連、IoT、ワイヤレスモバイル機器用途が並びます。

回路設計は機械設計よりきついですか?

企業規模計どうしで比べると、年収には差がありますが、残業はほぼ同じで、きつさを残業で見るなら差は小さいです。賃金構造基本統計調査の年収換算は、電気・電子・電気通信技術者が703.9万円、機械技術者が659.0万円で、電気・電子系が約45万円高くなっています。月の超過実労働時間は規模計で両職種とも16時間です。

▶ 機械設計はやめとけ?そう言われる理由と転職で解決できる不満の見分け方を解説

回路設計に向いているのはどんな人ですか?

原因の分からない不具合の解析と対策を何度も重ねても苦にならない人と、評価のデータ取りと報告書を地道に続けられる人が、この仕事に向いています。

ここでいう不具合は、実機に載せて初めて出る、原因が最初から見えないものを指します。評価のデータ取りと報告書は、回路設計の求人に書かれる製品評価の業務で、評価リスト・手順書に従う作業です。

まとめ

原因の見えない不具合は、仕事の性質から来る部分です。知識の広さも仕事の性質ですが、広さは担当範囲の取り方で変わります。相談相手の少なさは、職場で変わりうる部分です。

量産直前の手戻りは仕事の性質ですが、重なり方は仕様を誰が決めるかで変わります。自分のつらさが振り分けのどの項目に当たるかで、移っても残るのか、移れば変わるのかが決まります。

次にすることは、自分の担当を要素技術の名前で言い直し、求人に書かれた年数と照らすことです。年数だけが足りないなら、今の職場で同じ要素技術の業務を続けて年数を積めば、求人の条件に届きます。

書き出す項目は、当たる項目、言い直した要素技術、求人の年数との差、譲れない条件です。この4つがそろうと、4つの動き方のどれが残るかが見えます。

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