プロセスエンジニアは激務?半導体の残業と化学プラントとの違い、続けるかの判断を解説

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半導体の工場でプロセスエンジニアとして働き、休日や深夜に生産の問題の連絡が入り、新製品の立ち上げ期には残業が続くことがあります。続けるか迷っているときに、激務という言葉が目に入ります。

月の平均の残業だけでは、激務かどうかは分かりません。平均は、忙しい月も落ち着いた月もならした数字だからです。決め手は特に忙しい時期の出どころで、その出どころと重なり方は勤務先と配属で変わります。

読み終えるころには、自分の忙しさがどこから来ているかを分けて、続ける・社内で配属を変える・別の勤務先へ移るのどれを取るかを決められます。この記事では、残業の数字から入社前に確かめることまでを解説します。

プロセスエンジニアの残業は月何時間か

厚生労働省の統計にはプロセスエンジニアの行がなく、半導体のプロセスエンジニアがどの区分に入るかも分かりません。近い2つの技術者区分で見ると、超過実労働時間は月16〜18時間で、製造業全体の13時間より数時間長い程度です。

  • 産業計: 月11時間(規模計)
  • 製造業: 月13時間(規模計)
  • 電気・電子・電気通信技術者: 月16時間(規模計)
  • 電気・電子・電気通信技術者: 月18時間(1,000人以上)
  • 機械技術者: 月16時間(規模計)
  • 機械技術者: 月17時間(1,000人以上)

出所は厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査で、統計は2025年6月1か月分の値です。電気・電子・電気通信技術者は通信ネットワーク技術者を除いた値です。

平均の数字は、特に忙しい月の残業を示しません。半導体テスタなどを作るアドバンテストは、2025年3月時点の1人当たり時間外労働の平均を19.4時間(日本・中国・韓国のグループ、管理職は除く。韓国のみ部下のいない管理職を含む)と公表しています。

同社は別に、単体で月間80時間以上を0人にする社内計画を掲げていましたが、2024年度は突発的なトラブル対応のため達成できていません。どちらもプロセス職だけの数字ではありません。

化学プラントのプロセスエンジニアとの違い

OpenWork の ENEOS への質問ページには、製油所のプロセスエンジニアの残業は30〜40時間ほどと聞いたが口コミには80時間という記載もある、実態はどうか、という質問と、通常時の残業を30時間とする回答があります。

質問文にある口コミの残業時間が定期点検の時期の値かどうかは、質問ページからは分かりません。参考に、ENEOS 仙台製油所の2015年度の定期点検は、精製装置と用役装置の全体を対象にした大規模な点検でした。6月3日から順次装置を止めて機器の内部清掃・点検・補修・触媒交換を行い、7月中旬から8月初旬をめどに順次運転を再開する計画でした。

半導体の工場は生産を止めずに動かし続けるため、忙しさは運転を止めた期間ではなく、生産中に起きる問題の連絡として来ます。製油所の口コミに出た残業の数字は、半導体のプロセスエンジニアの数字としては読めません。

プロセスエンジニアが激務と言われる理由

プロセスエンジニアの忙しさの4つの出どころ(休日や深夜の連絡・新製品の立ち上げ・超特急ロット・歩留まりの原因調査)
出典: 本文の各節をもとに作成

忙しさの山には、4つの出どころがあります。出どころが同じ時期に重なると忙しさは強くなり、たとえば立ち上げ期には超特急ロットが重なります。

休日や深夜にも連絡が来る

半導体の工場は24時間体制で生産しています。

問題が起きれば、休日や深夜にも連絡が来ます。

新製品の立ち上げ期に残業が続く

新規プロジェクトを担当する時期には、土日も働くことがあります。

立ち上げ期の忙しさは、量産が始まれば区切りがつきます。担当プロジェクトの量産開始の予定は、いまの残業がどこまで続くかを見る手がかりになります。

超特急ロットを深夜も流す

超特急ロットは、新製品の出来を至急確かめるときや、大至急サンプル出荷品を作るときに流す試作ロットで、ホットロットとも呼ばれます。新製品の立ち上げ期に重なりやすいロットです。

EE Times Japan の連載には、1980年代後半から2000年代初めの開発の仕事として、通常2〜3カ月かかるウエハープロセスを10日間ほどで終えていたことが書かれています。関係するプロセス技術者は24時間対応でした。当時は加工検討用と製品試作用の2ロットをまとめて動かしました。ロットが自分の工程に差しかかれば、深夜でも早朝でも、担当者はまず加工検討用で条件を出し、その条件で製品試作用を処理して次へ渡していました。

一方で、2019年4月に働き方改革関連法が施行されたあと、あるメモリーメーカーでは1カ月の残業を60時間まで、超える月は1年に6回未満とする社内規則が設けられたと、連載は伝えています。同じ連載は、超特急ロットが頻繁に流れればこの上限は守りようがないと述べています。

歩留まりが下がると原因調査に追われる

歩留まり(ウエハから良品として取れるチップの割合)が下がると、その原因を工程の中から探す調査が始まります。半導体チップは、直径30cmのシリコンウエハに1,000以上の工程の加工を重ねてできあがります。

それらは互いに関係し合うため、自分の部署の担当工程だけを考えればよいことは少なく、調べる範囲は前後へ広がります。他部署の人とつながりがなく、誰に相談すればよいか分からないために、調査が進まないこともあります。部署をまたいで調べる分、ひとつの不良を追う時間は自分の工程で閉じる場合より長くなりがちです。

勤務先で忙しさはどう違うか

キオクシア 職種「プロセス技術・デバイス技術」の求人の平均残業時間ごとの求人数(10時間1件・20時間2件・25時間4件・30時間10件・40時間2件)
出典: キオクシア キャリア採用の職種別求人(2026年度・残業時間の記載がある19求人・2026年10月5日閲覧)

デバイスメーカーと装置メーカーを2社ずつ見ると、プロセスエンジニアの求人に書かれた勤務の組み方と平均残業は会社ごとに違います。

  • キオクシア(職種「プロセス技術・デバイス技術」の求人): 8:30〜17:15のフレックス。平均残業は10〜40時間(30時間が最も多い)
  • JASM(熊本の工場): 必須条件に夜勤。6:30〜15:30/8:30〜17:30/15:30〜24:30。平均残業は記載なし
  • 東京エレクトロン(宮城のプロセスエンジニア): 8:30〜17:15のフレックス。平均残業は35〜45時間程度
  • KOKUSAI ELECTRIC(富山事業所): 9:00〜17:30。平均残業は記載なし

出所は各社の公式採用ページ・求人の募集時点の記載です。

会社が同じでも、配属される部署で残業は変わります。キオクシアの生産技術・生産管理・プロセス開発の職種については、転職会議に、長く働くことが良しとされる空気や続く人員不足で、ハードワークが常態化している部署もあるという記述があります。

▶ キオクシアの転職難易度は?中途採用の人数と職種別の応募条件、勤務地、年収を解説

KOKUSAI ELECTRICの日勤は求人に書かれた枠です。装置メーカーでも、プロセス開発に使う実験装置の都合で夕勤や夜勤が入る配属チームがあることを取り上げた記事が半導体業界はやめとけ?そう言われる理由と当てはまる職種や会社を解説です。

量産ライン担当と開発担当の働き方の違い

2つの担当を、席での仕事とクリーンルームとの関わりで比べます。

  • 工場のプロセス管理: 基本はデスクワークで、クリーンルームには14時から16時までの2時間ほど入る
  • 開発のプロセス実験: 席では実験の企画と結果の確認をPCで進める。ロットの仕掛けはオフィスのPCからリモートで行い、断面SEMは専門の人に指示を出す

一度クリーンルームに入ると、作業を終えて出てくるまで時間がかかるため、他の業務との予定の調整が要ります。

工場は特定の1日の例、開発はEE Times Japan の連載が伝聞として書いた働き方で、どちらも職種全体の平均ではありません。連絡の頻度を比べられる資料がないため、この2例だけでは、どちらの持ち場が忙しいかは決められません。

続けるか移るかの決め方

動く範囲の小さい順に考える(いまの職場で続ける・社内で配属を変える・別の勤務先へ移る)
出典: 本文の各節をもとに作成

まず動く範囲が小さい方から考えます。

今の職場で続ける

新製品の立ち上げのように区切りのある時期の忙しさなら、まずはいまの職場に残る手が候補です。

山の時期が過ぎたあとの働き方がどこまで落ち着くかは、自分の部署で確かめられます。残業を減らす取り組みが進み、有給も取りやすく、休みを自分次第で調整できる職場なら、山を越えてから続けるか移るかを決めても遅くはありません。

社内で配属を変える

会社は気に入っていて、クリーンルームに入る時間や席での仕事の割合を変えたいなら、社内で配属を変える手があります。

聞く相手は、行きたい担当にいまいる人です。休みの日や夜中に電話が来ることがあるか、忙しくなる時期はいつ来るかを、異動の希望を出す前に尋ねておきます。

別の勤務先へ移る

夜勤や会社の体制そのものが合わないときは、別の勤務先を探す段階です。

移り先の見通しとして、job tag に載る半導体技術者の有効求人倍率(求職者1人に対する求人の数)は、令和7年度が1.07です。応募条件の一例として、KOKUSAI ELECTRICは、プロセスエンジニアの経験者採用で、デバイスメーカーや研究機関でのプロセス開発の経験を応募対象の欄に挙げています。いまの担当工程の経験がこの欄と合うかは、応募の前に見比べられます。

▶ KOKUSAI ELECTRICの転職難易度は?職種別の応募条件や年収を解説

入社前に忙しさを確かめる方法

移った先で忙しさの出どころが今と同じになるかは、求人票、採用ページ、面接で入社前に確かめられます。

  • 夜勤の有無: 求人票の応募条件欄で、夜勤が必須かと交替の時間帯を見る
  • 残業の平均: 求人票の平均残業時間(キオクシアは職種ごと、東京エレクトロン宮城も記載)か、書かない会社は採用ページの所定外労働時間の月平均(KOKUSAI ELECTRICは20.8時間)で見る
  • 休日と時間外の手当: 求人票の休日休暇・諸手当欄で、年間休日の日数と時間外勤務手当の有無を見る(例: KOKUSAI ELECTRICは2026年度126日)
  • 転勤: 求人票の転勤有無欄で、転勤の有無と配属先の拠点を見る
  • 休日深夜の連絡: 面接で、配属先で不具合の連絡が誰に来て、何人で受けているかを聞く
  • 山の時期: 面接で、入社後1年の間に新製品の立ち上げや急ぎの試作を控えているかを聞く

採用ページの所定外労働時間は会社全体の月平均で、配属先で不具合の連絡が誰に来るかや新製品の立ち上げの予定は、求人票にも採用ページにも載りません。質問できる機会は多くありません。JASMのプロセスエンジニアの求人は、選考を面接2〜3回で内定としています。

よくある質問

プロセスエンジニアの年収はいくらですか?

厚生労働省の賃金構造基本統計調査で、近い区分の電気・電子・電気通信技術者で見ると、令和7年の年収は703.9万円です。

厚生労働省の職業情報サイト job tag に載る半導体技術者の703.9万円・平均42.1歳は、同じ統計を加工した値です。どちらもプロセスエンジニアだけを数えた値ではありません。企業規模や年齢で分けた水準は、製造業全体の統計で確かめられます。

▶ 製造業の年収はいくら?平均と年齢や業種、企業規模、職種による差を解説

プロセスエンジニアと生産技術はどう違いますか?

2つの呼び名は会社ごとに重なり、半導体メーカーでは生産技術の中にプロセスエンジニアを置く例があります。呼び名ではなく、求人の業務内容で見分けます。

▶ 生産技術はやめとけ?きついのは職種か会社か、向き不向きと次の選択肢を解説

プロセスエンジニアに向いているのはどんな人ですか?

不良の原因が自分の工程の外にあるとき、他部署へ聞きに行って一緒に詰めることを苦にしない人が向いています。

休日や深夜の連絡で予定が崩れても、その都度組み直せる人のほうが続けやすいでしょう。

まとめ

忙しさの出どころは、休日や深夜の連絡、新製品の立ち上げ、超特急ロット、歩留まりが下がったときの原因調査の4つです。そのうち、どれが強く出るかは勤務先と配属で違います。動き方は、いまの職場で続ける、社内で配属を変える、別の勤務先へ移るの3つで、範囲の小さい順に試せます。

別の勤務先へ移るなら、夜勤の有無は求人票、残業の平均は求人票か採用ページ、休日深夜の連絡を誰が受けるかは面接で確かめられます。

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